スプリングツアー2011ご報告

オフィスヨコタ代表 横田明子


スプリングツアー終了しました。 各地で集めた義援金は、合計¥126,759になりました。 南三陸町の家を流された方々に現金を、福島県の原発避難家庭に 必要物資をお届けしました。

「三上クニ・スプリングツアー2011」は、5月14日~6月21日まで37日間、27ヵ所での演奏をすべて終了し、三上クニは無事ニューヨークに戻りました。お世話になった皆様、演奏を聴きにいらしてくださった皆様に、心より御礼申し上げます。

オフィスヨコタでは、「三上クニ・スプリングツアー2011」を今年初頭の時点で、「時期は5月半ば~6月半ばまで、地域を四国~関東、東北~北海道」と決めていました。震災後「予定していたコンサートを延期したい」「見合わせたい」というお話がいくつかありました。又、自粛ムードが広がる中「ツアーを予定通り行いますか」というお問合せも頂きました。 紆余曲折ありましたが最終的には、何ヶ所かの中止、延期はあったものの、ほぼ予定通りのツアーを行うことができました。これも、いつも三上クニを応援してくださる皆様、そして初めてにも関わらず三上クニを迎える決意をしてくださった皆様のお陰、と感謝の気持ちで一杯です。

東日本大震災では、私たちがお世話になった方々の地域も被災地となりました。直接お会いしたりお世話になった方で亡くなった方は今の所把握していませんが、過去に訪れた場所が被害に遭い、これから訪れるはずの場所が大きな被災地になる等、心傷むニュースが飛び込んできました。 震災直後の自粛ムードについては「むしろ自粛せずに音楽を届けるべきではないか」と思いましたが、一方で「音楽でいったい何ができるのか」という気持ちにもなりました。しかし、ツアーはくしくも東北を訪れますし、震災から2~3ヵ月後の5~6月という時期は、ちょうど文化が必要になるのでは、と考え予定通りのツアー決行と、被災地については無料コンサートとして行うことを決めました。

4月半ば過ぎ、大きな被災地としてすっかり地名が有名になった、宮城県南三陸町の主催者「ファームステージ風の宿」の杉田さんとやっと連絡が取れました。震災前からここでの演奏は決まっていましたが、震災後、杉田さんの安否確認だけはできたものの、1ヶ月以上連絡が取れなかったのです。杉田さんのご家族も、建物も無事であることが確認でき、相談の結果、予定通りの場所と日にちでコンサートを行うことを決めました。 福島県西郷(にしごう)村の「避難所コンサート」は、福島県白河市で主催する予定だったアルファプランニングの鈴木さんが、白河でのコンサートは断念したものの、避難所を何ヶ所か下見に行き、状況が可能な所を探して準備して下さいました。

5月31日、南三陸町へ。5月も終わりだというのに、南三陸町はストーブが必要な程寒い夜となりました。この時点で、この町にはまだ水道が通っておらず、川では水を汲んでいる人たちがいました。「ファームステージ風の宿」は高い所にあり無事でした。またこの集落では以前から水道ではなく沢の水を使っていたので、震災後も水には困らなかったそうです。 高台以外はTVで見たままの瓦礫の山の風景、その中を小学生の集団が歩いていました。この子たちは、毎日この風景を見ながら学校へ通っているのかと思うと心が痛みましたが、この現実を受け止めて、しっかり生きていかなければならないのも事実でしょう。実際、瓦礫の山の間に簡易郵便局があり、ワンボックスカーのコンビニがあり、人々の生活が感じられました。

「ファームステージ風の宿」でのコンサートには、約40名の方々が集まって下さいました。避難所から、仮設住宅から、他の地域から、そして東京からボランティアでこの町に入っていた方もいらっしゃいました。演奏後、主催の杉田さんからのごあいさつがあり、今日のコンサートに至る経過などの説明がなされました。そしていらしていた皆さんの中で家をなくされた11名の方々に、私から直接、全国の演奏会場で集めてきた義援金をお渡ししました。

今日のコンサートではCD販売はやめた方が良いだろうと思いましたが、杉田さんが「入場料もないのだから、どうぞCDを売ってください」とおっしゃってくださったので、CDを販売させて頂きました。皆さんが口々に「今はもう、買いたい物が何もない。でも今日のコンサートを聴いて、このCDが本当に欲しいから買います」と話しながら買ってくださったことには、本当に感動しました。

その後は演奏者も来場者も一緒に、お酒と食べ物で盛り上がり、楽しいひと時を過ごしました。帰り際、いつものコンサートと同じように「すばらしかった、また来てください」と皆さんに声をかけて頂いたことは、とてもうれしく思いました。また、後日「本当に暖かい気持ちになりました」「誠実さがにじみ出た演奏で、被災とは別の次元を堪能しました」という感想をお送り頂きました。

6月14日は、福島県西郷村にある「那須甲子(なすかし)青少年自然の家」という避難所で演奏しました。ここは、普段は青少年がキャンプや合宿に使う施設で、原発から避難してきた人たちが当初は400人程いたそうですが、この時点では約100人の方々が避難生活を送っていました。仮設住宅へ、あるいは他の地域へ移動していく時期と重なり、この日は土曜日ということで仮設住宅の準備等で外出されている方が多く、参加者は40人程でした。

しかし赤ちゃん、小学生から年配の方々までがいらしてくださり、「すごく癒されました」「心も身体もウキウキ、すばらしい時間だった」「素敵な日をありがとうございました。気持ちも心も洗われるようで感動しました」「久しぶりに文化に触れてジーンときた」といった感想が寄せられ、避難所のスタッフの皆さんにも大変喜んで頂きました。



南三陸町・ファームステージ風の宿で、義援金を手渡しする横田

ツアー中、主催者独自の募金を行わない所、主催者と合意ができた所では、「義援金」のお願いをしましたが、各地で集めた合計金額は ¥126,759 になりました。 5月16日~28日までの演奏で集まった義援金は、南三陸町「ファームステージ風の宿」でのコンサートにいらした方の中で、津波によって家を無くされた方々に、直接お渡し致しました。

6月1日~7日までの演奏で集まった義援金は、西郷村「那須甲子青少年自然の家」での演奏をコーディネートしてくださったアルファプランニングに託しました。原発の避難地域から、白河市の仮設住宅に避難したお子さんのいる家庭に、必要物資を購入して届けて頂きました。被災地支援の意味から、量販店ではないお店を優先して購入しました。


南相馬市から避難して千葉など数ヶ所を転々とし白河の仮設住宅に入居した、 白河高校2年生と白河中央中学3年生のご兄弟に、地元の村上スポーツから バスケットボールとシューズを購入してお届けしました。

6月14日~19日までの演奏で集まった義援金は、南三陸町「ファームステージ風の宿」にお送りしました。



浪江町から来た石井さんに下駄箱をお届けしました。

購入したくろす家具さんも、 地震でお店が半壊、お店の1/3は取り壊し、このような状態で営業しています。

最後に、南三陸町と福島県西郷村の演奏について、企業メセナ協議会から「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」という助成を頂いたお蔭でこの2つのコンサートを遂行できました。企業メセナ協議会に深く感謝申し上げます。 以上、今年のスプリングツアー、特に被災地や避難所でのコンサート開催の経過とそのご報告をさせて頂きました。その他の各地での演奏については、三上クニのブログをご覧ください。

2011年7月1日
オフィスヨコタ代表
横田明子